会員研鑽ノート

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私の好きなお話(私が思う仁和寺の魅力について紹介します)

真照院  山口支所  臼井 真山  43歳 

僧侶歴:約20年

現在の仕事: 住職

趣味: 将棋、ゴルフ

2022.09.07 update.

私の好きなお話しで仁和寺が明治維新までずっと皇子皇孫が入るお寺となるきっかけに なったお話しが『栄花物語 第十四 あさみどり』の中にありますので紹介させていただきます。
ちなみに宇多天皇が崩御してから大御室性信親王が仁和寺に入られるまでのしばらくの間、仁和寺には「御室」が不在でした。
大御室が仁和寺に入ろうと思ったのは、父三条天皇が崩御され兄の敦儀親王が厚遇され ない境遇になり、自身もその兄を見てこのまま朝廷内にいても将来がないと思われたためだったようです。

大御室「年ごろ出家の本意深くはべるを、なさせたまえ」
済信 「ともかくも聞えさすべきにあらず」
済信 「院や宮などや、便なくおもしめさん」
大御室「それ苦しく思いめさるべきことならず。ただ疾くいかでなりなんとなむ思ひはべる」
済信 「若き御心にかくのたまはすること」「なほこの寺に、さるべきやむごとなき人のたえさせたまふまじき」

現代訳
大御室「ここ数年出家の本題を深く抱いておりますので、法師にさせてくだされ」
済信 「なんとてもこの私から申しあげることもできませぬ」
済信 「小一条院(義父)や娍子(母)などが不都合なとおぼしめされましょうか」
大御室「そのことはご心配に及ばない。自分はぜひとも早く出家したいと思っております」
済信 「まだお年若の御心でこのように仰せられるとは」とたいそうお泣きになって
「やはり仁和寺には、それ相応の高貴な方がけっしてあとを絶やすこともないのだろう」

とうれしく思ったと語りました。
以後仁和寺は皇統に近い方を「御室」として歴代の天皇につながる方を迎え入れることに なりました。
現在、私のお寺には後継者がいないので、然るべき人が現れて継いでくれたらと願っております。