以前から著者である沼田牧師の発言をネット上で拝見しており、気になっていたので本書を手にとりました。
閉鎖病棟に入院した経験を持つ著者が、主に教会を訪れる方々との人間関係を通じて自身の信仰を問うような内容になっています。
帯に「並外れた悩む力を持っている牧師だからこそ、人の悩みを受け止められるのかも。」とあるように、自らの悩みや挫折も正直に打ち明けられていて、宗教者として学びの多い本でした。
日々檀家様と接していると、身に余る評価や期待に浴することがあります。それに応えようとしているうちに身の丈を越えた振る舞いをしている自分に気がつきました。どうやら、僧たるもの何かを達成し、問題を解決した立場からみなさんにお話をしなければならないと思い込んでいたようです。
しかしこの本を読んでいるうちに、普通に悩みを抱えた等身大の自分を表現してゆくのも悪いことではないと思えるようになりました。
たとえ七転八倒であっても、仏教に学びながら自分の悩みを掘り下げてゆくことが、共感と共鳴を生むのではないでしょうか。
最近は恥はかき捨てだと思っていますが、それでも怖くなった時は本書を開き、正直であることとは何かを再確認してゆきたいと思っています。